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企業・サービスの価値向上につながるブランディングサイトの特徴と作り方

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デジタル時代において、企業のブランド価値を効果的に伝えるWebサイトの重要性が増しています。特に近年、単なる情報発信の場としてではなく、企業の製品やサービスの魅力を多くの人の伝え、購入・利用によって得られるベネフィットを理解・浸透させることを目的とした、ブランディングサイトが注目を集めています。

本記事では、企業価値を高めるブランディングサイトの特徴や作り方について、具体的な事例を交えながら解説していきます。広報・マーケティング担当者の皆様が、効果的なブランディングサイトを構築するための実践的なガイドとしてご活用いただければ幸いです。

ブランディングサイトの基礎知識

企業のブランド価値をオンライン上で効果的に表現するため、まずはブランディングサイトの定義、特徴、そして現代における重要性について解説していきます。

ブランディングサイトとは

ブランディングサイトとは、企業のブランドアイデンティティや価値観を効果的に表現し、訪問者に深い印象を与えることを目的としたWebサイトです。製品やサービスの直接的な販売促進ではなく、企業のビジョンや理念、ストーリーを通じて、ブランドへの共感や信頼を獲得することに主眼を置いています。

企業のデジタルブランディングにおいて、ブランディングサイトは以下のような役割を果たします。

・企業価値の視覚的・体験的な伝達
・ステークホルダーとの感情的な接点構築
・ブランドストーリーの効果的な展開
・企業文化や価値観の表現

コーポレートサイトとの違い

まず、目的の面で大きな違いがあります。コーポレートサイトは企業情報を網羅的に提供し、IR情報や採用情報など、企業認知につながるコンテンツを重視します。一方、ブランディングサイトは企業の価値観や魅力を体験的に伝え、ステークホルダーとの感情的なつながりの構築を重視します。

デザインアプローチにおいても、両者には明確な違いが見られます。コーポレートサイトでは情報の整理と可読性を重視し、一般的なユーザーが慣れ親しんだ標準的なレイアウトパターンを採用することが多いです。対してブランディングサイトでは、クリエイティブな表現やインタラクティブな要素を積極的に取り入れ、その企業ならではの独自の世界観を構築することに主眼を置くケースが多いです。

コンテンツ構成においても特徴的な違いがあります。コーポレートサイトは情報を体系的に整理し、ユーザーが目的の情報にたどり着きやすいよう、カテゴリ分けによる明解なナビゲーション構造を基本とします。一方、ブランディングサイトではストーリー性を重視した体験設計を行い、ユーザーを自然な流れで導くシームレスな導線設計を心がけます。各ページや要素が有機的につながり、企業の物語を紡いでいくような構成になることが多いです。

なぜ今ブランディングサイトが重要なのか

新規ユーザーを確保し、既存ユーザーのロイヤリティを高めるために、継続的なベネフィットの訴求を行う必要があります。その目的を果たすためにブランディングサイトの重要性は日々高まっており、その背景には、主に3つの大きな要因があります。

1つ目は、企業とステークホルダーとのデジタル接点の急増です。特にコロナ禍以降、対面でのコミュニケーションが制限される中、オンラインでの企業価値の訴求がこれまで以上に重要になっています。また、PCやスマートフォンによる情報収集が日常的になり、企業文化や価値観をデジタル上で可視化する必要性もより高まりました。

2つ目は、情報過多時代における企業の差別化の必要性です。今日では、多くの企業が同じような情報をWebサイトで発信しており、従来型の情報提供だけでは企業の個性が埋もれてしまう危険性があります。そのため、印象的な体験を通じて記憶に残るブランド構築が求められており、競合との差別化要素としてブランド体験の重要性が増しています。

3つ目は、Z世代やミレニアル世代など、新しい価値観を持つ世代への対応です。デジタルネイティブ世代は、企業の理念や社会的責任に強い関心を示し、製品やサービスの機能や価格だけでなく、その企業が持つ価値観や社会への貢献度を重視する傾向があります。また、彼らは体験価値を重視する消費行動を特徴としており、この点からもブランディングサイトの重要性は高まっているのです。

効果的なブランディングサイトの特徴

成功するブランディングサイトには、ブランドアイデンティティの表現力、優れたユーザー体験、効果的なストーリーテリングなど、いくつかの共通する特徴があります。本章では、これらの要素を詳しく解説し、実践的な視点から成功要因を探ります。

明確なブランドアイデンティティの表現

成功するブランディングサイトの第一の特徴は、一貫したブランドアイデンティティ(企業としてユーザーに思ってもらいたいイメージ)の表現です。これは、ビジュアルアイデンティティ(VI)の統一とメッセージの一貫性という2つの側面から実現されます。

VIの統一では、ロゴ、カラー、タイポグラフィなどのデザイン要素を、ブランドガイドラインに基づいて一貫して使用することが重要です。これらの要素は、ただ単に統一するだけでなく、企業のブランド価値を視覚的に表現する手段として戦略的に活用する必要があります。また、写真やイラストレーションのスタイル、アニメーションや動きの表現においても、ブランドの世界観を損なわないよう、慎重に検討を重ねることが求められます。

メッセージの一貫性においては、企業理念やビジョンを明確に伝えることが基本となります。すべてのコンテンツにおいて一貫したトーン&マナーを保ちながら、キーメッセージを効果的に反復することで、訪問者の記憶に残るブランドストーリーを展開していきます。この際、強制的な押し付けではなく、自然な文脈の中でメッセージを織り込んでいくことが重要です。

ユーザー体験(UX)を重視したデザイン

効果的なブランディングサイトでは、訪問者に印象的かつストレスフリーな体験を提供することが重要です。これは、直感的なナビゲーション、インタラクティブ要素の活用、そしてマルチデバイスへの対応という3つの要素によって実現されます。

直感的なナビゲーションでは、ユーザーの行動パターンを深く理解し、それに基づいた導線設計を行います。スムーズなページ遷移とインタラクションを実現し、ユーザーが迷うことなく必要な情報にたどり着けるよう配慮します。また、明確な階層構造と見やすいメニューを提供することで、サイト全体の見通しの良さを確保します。

インタラクティブ要素の活用では、スクロールアニメーションやマウスオーバー時の視覚的フィードバックなど、適切な動的表現を取り入れます。ただし、これらの要素は適度に抑制的に使用し、コンテンツの本質を損なわないよう注意が必要です。

マルチデバイスへの対応は、PCからスマートフォンまで、あらゆるデバイスで最適な表示と操作性、ナビゲーションを実現します。各デバイスの特性を活かした体験設計を行い、特に昨今アクセス率の高いモバイルでのパフォーマンスには細心の注意を払います。

ストーリー性のあるコンテンツ設計

ブランディングサイトの魅力を高める重要な要素として、効果的なストーリーテリングがあります。これは、ナラティブアプローチとマルチメディアの効果的活用という2つの側面から実現されます。

ナラティブアプローチとは、物語(narrative)を通して解決法を見出していくアプローチ方法で、企業の歴史や価値観を単なる事実の羅列ではなく、魅力的なストーリーとして展開していくことが理想です。社員や顧客の声を効果的に活用し、感情的な共感を引き出す内容構成を心がけるほか、企業の成長過程や未来像を描くことで、ステークホルダーとの継続的な関係構築を図ります。

マルチメディアの活用では、動画、アニメーション、インタラクティブコンテンツを適材適所で使用し、視覚的な体験を通じて記憶に残る表現を実現します。特に、複雑な情報をわかりやすく伝えるためのデータビジュアライゼーション(情報・データをわかりやすく視覚的に表現すること)や、企業の雰囲気を効果的に伝える音声・音楽の使用は、ブランディングサイトの表現力を大きく高めることができます。

ブランディングサイト制作のステップ

ブランディングサイトの制作は、戦略立案から実装、運用まで、複数のステップで構成されています。本章では、一連の制作プロセスを体系的に解説し、各段階で押さえるべきポイントを説明していきます。

ペルソナ・ターゲット設定

ブランディングサイトの制作において、最初に行うべきは明確なペルソナとターゲットの設定です。これは単なる一般的な属性分類ではなく、より深いレベルでのユーザー理解を目指す必要があります。

ペルソナ設定では、基本的な属性情報に加え、行動パターンや価値観、情報収集方法など、より詳細な特性を定義します。例えば「新規事業の提携先を探している企業の経営企画部長」「企業の社会的価値に関心の高い就活生」など、具体的な人物像を描き出します。このようなペルソナ設定により、より効果的なコンテンツ設計が可能となります。

すでにブランドでペルソナ・ターゲットの設定ができている場合は、サイトへアクセスすると考えられる、デジタル面で接触するユーザーに絞り込んで、設定を行うとよいでしょう。

サイトコンセプトづくり

サイトコンセプトは、サイト全体の核となる要素です。以下の5W1Hのフレームワークを利用して、決め込んでいきましょう。

What(何が)・・・何がブランドとユーザーをつなげられるコンテンツなのか
Why(なぜ)・・・なぜブランディングサイトが必要なのか
Who(誰が)・・・誰がブランディングサイトを検索するのか
When(いつ)・・・ユーザーが情報を探すタイミングはどのようなタイミングか
Where(どこで)・・・情報を探す際のデバイスは何か
How(どうやって)・・・どのような経路でブランディングサイトまでたどり着くか

上記の過程でサイトコンセプトを決め込んでいき、関係者全員で共有します。これにより、ブランディングサイトのゴールが明確化されるでしょう。

情報設計とワイヤーフレーム作成

情報設計では、サイトを訪問するユーザーの行動動線を考慮しながら、サイト構造を設計します。コンテンツの優先順位付けを行い、ユーザーがストレスなく必要な情報にたどり着けるよう、適切な導線を設計します。

ワイヤーフレームの作成では、各ページに必要な要素の配置や機能を検討します。この段階での注意点は、以下の4つです。

・コンテンツの階層構造の明確化
・主要なメッセージの効果的な配置
・ユーザーの行動フローの最適化
・マルチデバイスでの表示・操作性の検討

ビジュアルデザインとUI設計

ビジュアルデザインは、ブランドコンセプトに基づいた視覚表現を具体化する作業です。ここでは、以下の要素を統合的にデザインします。

・カラースキームの展開
・タイポグラフィの使用規則
・画像やイラストレーションのスタイル
・アニメーションやインタラクションの設計

UI設計では、ユーザビリティとブランド表現のバランスを重視します。操作性を損なうことなく、ブランドの世界観を表現できるインターフェースを目指します。

この段階で色使い、画像スタイル、タイポグラフィなどの具体的な表現要素を決定し、ブランドの世界観を視覚的に表現するためデザインの方向性を固めます。

ブランディングサイトの運営

サイトの公開後は、継続的な運営と改善が重要です。具体的には以下のような施策を実施します。

・アクセス解析による効果測定
・ユーザーフィードバックの収集と分析
・コンテンツの定期的な更新
・パフォーマンスの監視と改善

成功事例から学ぶポイント

実際の成功事例を分析することは、効果的な戦略と実装のヒントを得る上で非常に有用です。本章では、様々な企業のブランディングサイト事例を取り上げ、その特徴と成功要因を解説します。

老舗企業のブランディング事例

■資生堂のブランディングサイト

https://brand.shiseido.co.jp

資生堂は、およそ150年の歴史を持つ伝統と、最新のデジタル表現を見事に融合させています。同社「SHISEIDO」のブランディングサイトでは、以下の特徴が効果的に機能しています。

・アート性の高いビジュアル表現による美の追求
・「SHISEIDO」を冠する唯一のブランドの独自性
・ECサイトを機能を備え、ブランド訴求と購入促進を共存
・スキンケア、メイクアップなど、配下にスペシャルサイトを設置
・グローバルと日本の美意識の融合

■レクサスのブランディングサイト

https://lexus.jp

高級車ブランドとして知られるレクサスは、オンライン上でもブランドの世界観を見事に表現しています。

・モダンでミニマルな美意識による洗練されたデザイン表現
・豊富なビジュアル素材による製品価値の訴求
・スムーズなアニメーションと高品質なインタラクション
・ブランドストーリーから購買検討まで、シームレスな導線設計

ブランドの世界観を体現する視覚表現、複雑な情報を整理しユーザーにストレスを感じさせないデザイン設計、実用的な価値を提供するユーザー志向の機能性が大きな特徴となっています。

スタートアップ企業のブランディング事例

■HELLO MOBILITYのブランディングサイト

https://www.hellomobility.jp

シェアモビリティサービスを展開するHELLO MOBILITYは、新規サービスの価値を効果的に伝えるブランディングサイトを実現しています。

・サービスの本質を端的に伝える直感的なビジュアル表現
・スクロールアニメーションを活用した魅力的な情報提供
・ユーザーの疑問に応える明快な導線設計環境配慮型の移動手段という価値提案の効果的な訴求

新規サービスの価値を効果的に伝えるための優れた事例です。特に、サービスの特徴をシンプルかつ魅力的に伝えるアプローチは、スタートアップ企業のブランディングサイト制作において、参考になる点が多いでしょう。

■ReFaのブランディングサイト

https://www.refa.net

美容ローラーやヘアドライヤー、シャワーヘッドなど、手掛けるアイテムが次々と話題になっている美容機器ブランド「ReFa(リファ)」ブランドは、シンプルな構造ならが製品の価値と美の哲学を最大限に魅せるブランディングサイトを展開しています。

・上質な写真とアニメーションによる洗練された世界観の表現
・「美しさ」を追求するブランドストーリーの視覚的な展開
・テクノロジーと感性的価値の両立した製品訴求
・共通した世界観のECサイトとの効果的な連携

白を基調とした洗練されたデザインに、スタイリッシュな製品写真と繊細なアニメーションを組み合わせることで、美容機器ブランドとしての品位と信頼性を表現しています。

ブランディングサイトの参考事例を探す方法

優れたブランディングサイトの事例を効率的に探すために、キュレーションサイトの活用をお勧めします。

■mekikiki

最新情報の更新が早いことで知られるウェブデザインのキュレーションサイトで、「ブランド・サービス」「キャンペーン」といったサイトのタイプと、「アニメーション」「パララックス」等のWeb技術を組み合わせた条件で、該当するWebサイトを確認することができます。

https://mekikiki.com/category/type/brand-service/

定期的にキュレーションサイトをチェックすることで、ブランディングサイトの最新トレンドやクリエイティブな表現手法を継続的にキャッチアップすることができます。また、気になった事例はブックマークしておき、自社のブランディングサイト制作時の参考資料として活用することをお勧めします。

よくある課題と解決策

ブランディングサイトの制作と運用では、予算、期間、合意形成など、様々な課題に直面します。本章では、実務において特に重要となる課題とその解決アプローチを具体的に解説していきます。

予算と期間の最適化

ブランディングサイトの制作において、予算と期間の最適化は重要な課題です。これらの課題に対しては、以下のようなアプローチが効果的です。

予算面では、投資対効果を最大化するための戦略的な配分が重要です。具体的には以下のような施策を検討します。

・機能やコンテンツの優先順位付けによる段階的な開発
・初期リリースに必要な最小限の機能の見極め
・将来の拡張性を考慮したシステム設計
・運用コストを含めた総合的な予算計画の策定

期間については、以下のような工夫により、品質を維持しながら効率的な制作を実現できます。

・プロジェクト初期段階での入念な要件定義
・マイルストーンの明確な設定と進捗管理
・外部環境の変化に対応できる柔軟なスケジュール設計
・関係者との密な連携によるスムーズな意思決定

社内外の合意形成

ブランディングサイトの制作には、多くの関係者が関わります。社内外ともに制作内容についての合意を形成していくプロセスを整理しておきます。

社内での合意形成においては、以下の点に注意を払います。

・経営層への定期的な報告と承認プロセスの確立
・関連部署との早期からの協力体制構築
・プロジェクトの目的と期待効果の明確な共有
・各部署の要望を適切にバランスさせた内容設計

外部パートナーとの協業では、以下のポイントが重要です。

・制作会社との明確なコミュニケーション方針の策定
・定期的な進捗確認と課題共有の機会設定
・品質基準の明確化と共有
・責任範囲の明確な定義

運用体制の構築

サイト公開後の安定的な運用のために、以下のような体制整備が必要です。

持続可能な運用モデルの確立

・更新作業の役割分担の明確化
・コンテンツ管理のワークフロー整備
・セキュリティ対策の実施
・緊急時の対応フローの整備

効果測定と改善のサイクル

・KPIの設定と定期的なモニタリング
・ユーザーフィードバックの収集・分析
・アクセス解析に基づく改善提案
・定期的なコンテンツ更新計画の策定

まとめ

効果的なブランディングサイトを実現するためには、戦略、制作、運用の3つの観点からの総合的なアプローチが必要です。

戦略面では、企業戦略との整合性を確保しながら、明確な目的とターゲット設定を行うことが重要です。ペルソナに基づいた体験設計を行い、測定可能なKPIを設定することで、サイトの効果を定量的に評価できる基盤を整えます。また、ビジュアルアイデンティティの統一性を保ちながら、一貫したメッセージングとブランドストーリーを効果的に展開することで、企業の価値観を深く浸透させることができます。

制作面においては、ユーザー体験の最適化が成功の鍵を握ります。直感的なナビゲーション設計とレスポンシブデザインの徹底により、どのデバイスからでもストレスなくサイトを閲覧できる環境を整えます。同時に、サイトのパフォーマンスを最適化し、魅力的なビジュアル表現と説得力のあるストーリーテリングを組み合わせることで、訪問者の心に残る印象的なコンテンツを提供することができます。

運用面では、継続的な改善と安定的な運営体制の確立が不可欠です。定期的な効果測定とユーザーフィードバックの収集・分析を行い、その結果をサイトの改善に活かしていきます。また、明確な役割分担と効率的な更新フローを整備し、適切なセキュリティ対策を実施することで、長期的な運営を支える基盤を構築します。

ブランディングサイトは、単なる情報発信の場ではなく、企業の価値観や魅力を体現し、ステークホルダーとの深い関係性を構築するための重要な接点です。本記事で解説した要素を総合的に検討し、実践することで、貴社の企業価値を最大限に引き出すブランディングサイトの構築が可能となります。

デジタル時代において、オンラインでの企業価値の訴求がますます重要性を増す中、戦略的なブランディングサイトの構築と運営は、企業の持続的な成長に欠かせない要素となっているのです。

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