
各社から取り寄せた見積書。
どの会社も少しづつ見積もりの項目が違っていて、ちゃんと比較できているか不安。
「これもやってくれるだろう」と思っていた見積項目が、いざ制作がスタートすると「追加費用がかかります」と言われたり。
不安を解消するためには、見積もりに記載された項目について正しく理解する必要があります。追加費用を無くすためには、制作する範囲のヌケモレがないかチェックすることが大切です。
この記事では、
・メガホンの見積項目の中身
・見積書をチェックするときのポイント
・見積もりを依頼する前に準備しておきたい3つの情報
について解説します。
見積項目の中身(メガホンの場合)
メガホンの見積項目について、順番にご紹介します。
進行管理費(ディレクション費)
進行管理費を他社では営業管理費と呼ぶ場合もあります。
会社によって、制作全体費用の10%や20%と一律ではないことが多いです。
また、その中身が具体的に明示されていることも少ないと思います。
メガホンでは、ディレクターの業務と制作環境の維持費がこの項目に当たります。
ディレクターの具体的な業務でいくと
■制作前後
- クリエイターのアサイン
- 見積書、請求書、契約書の発行
- スケジュール作成
- トラブル対応
■制作中
- 定例ミーティング
- 資料の作成
- 成果物のチェック
- 進行状況の管理
になります。
制作規模が大きくなるとディレクターの業務量も多くなることから、制作規模に比例してコストが大きくなるため、全体費用の割合で計算しています。また、メガホンのディレクターは通常プロデューサーが行う進行管理も一元対応しています。そのため、制作進行を円滑に進めることができています。
制作環境の維持費とは、デザイン・コーディングに必要なツールの利用料です。
企画構成・要件定義
企画構成・要件定義では、主にワイヤーフレームの作成や事前調査をします。
具体的には
- ワイヤーフレーム作成
- ディレクトリマップ作成
- デザイン表現のアイデア出し
- 個別コンテンツの構成作成
- 競合調査
- 市場調査
をします。
ワイヤーフレームは、各ページの設計書になります。
中身は、情報や要素の優先順位付け・レイアウト・情報の過不足がないかのチェックをします。
ディレクトリマップは、サイトの全体像を地図のように書き起こしたものになります。
トップページの下層にはサービス一覧ページがあり、その下層のページには詳細ページがあり…といった具合に、全体を俯瞰したものです。
市場や競合の調査、デザイン表現のイメージ作成もこの項目に含まれます。
アートディレクション
企画構成と実施する項目は似ていますが、上記の企画構成・要件定義がサイト全体にかかるものに対して、アートディレクションはデザイン面に特化した内容になります。
- 競合調査
- 市場調査
- 資料作成
- 撮影の前準備、撮影用の資料作成(撮影がある場合)
をしていきます。
デザイン費
メガホンでは、TOPページは〇〇万円、実績ページは〇〇万円という形でページごとに費用を計算していきます。
PCデザイン・SP(スマートフォン)デザインと分けて算出します。
また、それぞれのページにデザイン難易度を割り振り、難易度を元に計算しています。
フォントの選考からレイアウト作成、使用する画像・写真選びやボタン・配色の調整、アニメーションのイメージといったデザイン要素。このデザイン要素と各ページボリューム(情報量)を加味して、デザイン難易度を決めていきます。
図の作成、イラスト作成が必要な場合は、デザインの項目とは分けて計上しています。
RWDコーディング
デザインしたものを実際にWeb上で閲覧できるように、プログラミング言語を使ってソースコードを書く作業のことをコーディングと呼びます。
RWD=レスポンシブWebデザイン とは「パソコンやスマートフォンなどの機器や画面サイズに応じて、Webサイトを見やすく表示できるようにすること」です。
レスポンシブデザインに応じたコーディングをします、という項目になります。
こちらもデザイン費と同じく、ページ数・ページごとのデザイン難易度に応じて計算します。
Javascript実装
コーディングに関わる費用としてJavascript実装があります。
画像が切り替わるスライダーやボタンを押したときのアニメーションなど、その他にもサイト上での動きを実装する言語がJavascriptになります。
参考のデザインから想定される動きや、サイト全体のコンテンツボリューム、特殊な動きの有無から実装にかかる工数を割り出します。
CMS初期設定
「CMS」とは、「Contents Management System:コンテンツ・マネジメント・システム」の略で、Webサイトのテキストや画像・デザイン・レイアウト情報(テンプレート)を一元的に保存・管理・更新するシステムのことです。
このシステムを活用することで、お客様側で更新をしたいコンテンツ(お知らせや実績、ブログ)を管理画面から更新することができます。
定期的な更新が多く、制作会社に依頼すると手間がかかる部分をCMSを導入して、自社で更新することはよくあります。
初期設定では
- サーバーへCMSのインストール
- サイトの共通部分のテンプレート化
- プラグイン(カスタマイズ用のパーツ)の選定、導入
をします。
CMS構築
トップページにお知らせ記事や実績の最新記事を反映する。
管理画面からコンテンツを更新・作成する際に、画面内に入力ボックスやカテゴリー選択をするリスト形式を表示させる。
こういった更新コンテンツの表示や管理画面の構築をする項目がCMS構築になります。
問い合わせフォーム・資料請求フォームなどのフォームもCMSの機能を利用して作成する場合、この項目に含まれます。こちらも項目ごとに割り出します。
こちらの項目はエンジニアの稼働になるので、機能ごとに単価を人日で計算します。
例)
「新着情報」ページ(更新フォーム):〇〇万円
「お問い合わせ」ページ(問い合わせフォーム):〇〇万円
動作検証
動作検証は、Webサイトが意図したとおりに正しく動作するかを確認する工程です。
具体的には、以下のような内容をチェックします。
動作検証の主な項目
■ブラウザ・デバイスチェック
- Chrome、Safariなどの主要ブラウザで正常に表示・動作するか
- PC、タブレット、スマートフォンなどの異なるデバイスでの表示確認
■レスポンシブ対応チェック
- 画面サイズごとに適切にレイアウトが切り替わるか
- 文字サイズや画像の見え方に問題がないか
■リンク・ナビゲーションチェック
- すべてのリンクが正しく機能しているか
- グローバルナビゲーションやフッターのリンクが適切に遷移するか
■フォームの動作確認
- 問い合わせフォームや会員登録フォームが正しく動作するか
- 入力エラー時のメッセージが適切に表示されるか
- 送信後の確認メールが届くか
■機能の動作確認
- CMS(WordPressなど)での投稿・編集が正しくできるか
- JavaScriptやアニメーションの動作がスムーズか
- 外部APIとの連携が正しく機能するか
■表示速度の確認
- 読み込み速度が遅すぎないか
- 画像の最適化がされているか
■セキュリティチェック
- SSL(HTTPS)が適切に設定されているか
- 外部からの不要なアクセスを防ぐ設定ができているか
その他
基本的な見積の項目は以上になりますが、その他にも見積書の中に記載されているものとしては
- デザイン修正の回数
- 写真、イラスト、動画の素材、原稿はどちらが手配するのか
- 納品の形式、納入場所はどこになるのか
というものがあります。
メガホンの場合は、写真・イラスト・動画の素材・原稿はご支給いただく想定です。弊社で用意する場合は別途見積もりを作成しています。
納品の形式、納入場所はご相談いただく制作概要によってさまざまです。お客様のサーバーへアップロードする場合もあれば、セキュリティの要件から納品データのみをお渡しして納品完了とする場合があります。
こういったことも事前に打ち合わせやメールで確認して、見積を作成していきます。
Webサイト制作の費用相場(メガホンの場合)
Webサイト制作の費用相場は、サイトの規模や種類、サイトの機能要件によって異なります。ここではメガホンの費用相場をご紹介します。
下記の費用はおおよその目安になり、サイトの内容によって変動していきます。
- 小規模なWebサイト(5〜20ページ):100万円〜300万円
- 中規模のWebサイト(20〜100ページ):300万円〜800万円
- 大規模で複雑なWebサイト(100ページ以上):800万円〜1,500万円以上
- LP(1ページの縦長ページ):60万円〜
これらの費用はあくまで目安であり、実際の金額はサイトの内容や仕様によって変わります。ご検討の際は、具体的な要件を整理し、ご相談いただければと思います。
見積書をチェックするときのポイント
見積書をチェックするときにみておきたいポイントを紹介します。
用語の意味が理解できない場合や制作範囲がズレているかもと感じたら、迷わず聞いてみることをおすすめします。
見積もりの内訳
見積書の各項目が具体的にどのような業務を含んでいるのかを確認しましょう。
同じ「デザイン費」でも、会社によってフォント選定やアニメーションの設計が含まれる場合とそうでない場合があります。
制作範囲のヌケモレをチェックする
「これもやってくれるはず」と思っていた項目が含まれていないケースが多々あります。
例えば、以下のような点を見落としていないか確認しましょう。
- デザイン修正の回数
- 写真、イラスト、動画の用意
- 原稿作成
- サーバーやドメインの取得、設定
- 制作するページは網羅しているか
- PC、スマホ両対応のコーディングが含まれているか(レスポンシブ対応)
- 問い合わせフォームやCMSの初期設定が含まれているか
- 更新システムのマニュアル作成やレクチャーをしてくれるのか
- 動作検証
見積もりの有効期限とスケジュールを確認する
見積もりの金額は制作会社のリソース状況によって、一定期間を過ぎると変わる場合があります。また、納品までのスケジュールが明確かどうかも確認が必要です。
概算の制作スケジュールをこの段階で聞いておくこともおすすめです。
契約形態と支払い条件を確認する
支払いのタイミング(着手金・中間金・納品後の支払いなど)が明記されているか確認しましょう。また、成果物の納品形態(データ納品、サーバーアップロードなど)についても事前に合意しておくとトラブルを防げます。
見積もりを依頼する前に準備しておきたい3つの情報
見積もりを依頼する前に、準備しておくとスムーズに進む3つの情報を紹介します。
これが揃っていると、よりプロジェクトに合った提案や見積もりを受けられます。
1.プロジェクトの概要
Webサイト制作を進めるにあたっての全体像を示すものです。
- プロジェクトが発足した背景や目的・ゴール
- 現行サイトに感じている課題点
- 制作範囲(対象サイト・ページ数)
- 自社の競合、ベンチマークにしている企業
- 現行サイトのシステム要件
- プロジェクトの予算、納期
2.提案の要件
制作会社に提案してほしい内容を提示します。
- Webサイトに希望する機能要件
- 納品物一覧、納品形式
- プロジェクトの体制図
- デザイン案
- 概算費用
- 過去の制作実績
3.評価基準とプロセス
見積・提案を受け取ってからの流れを記載します。
- 見積書・提案書の提出期限、提出先
- 選考スケジュール
- 評価基準
概算のページ数やどんなサイトにしたいか、参考のサイトがあれば、そちらを元に概算の見積を作成することができます。
1.2.3のいずれも見積もり依頼前に、整理・資料化しておく必要はありません。制作会社との打ち合わせで聞かれることが多い情報ですので、社内で確認しておくといいでしょう。
特にプロジェクトの背景やゴール、現状課題に感じている点、マストで実現したい機能要件は整理しておくと、提案内容の幅や見積もりの金額がより実現したい内容に沿ったものになってきます。
まとめ
Webサイト制作の見積もりを比較・検討する際は、見積項目の内容や制作範囲のヌケモレに注意することが重要です。特に、以下のポイントを押さえておくとスムーズに進められます。
見積書の内訳を確認する
項目ごとの具体的な作業範囲をチェックし、想定している業務が含まれているか確認しましょう。
制作範囲のヌケモレを防ぐ
「これも含まれているはず」と思い込まず、デザイン修正回数やCMS設定、問い合わせフォームなどが見積もりに含まれているかをチェック。
スケジュールや支払い条件を確認
見積もりの有効期限や納期、支払いタイミングを事前に把握しておくことが大切。また、見積もりを依頼する前にプロジェクトの目的やゴール、希望する機能要件を整理しておくと、より具体的な提案を受けることができます。
しっかり準備をして、後から「こんなはずじゃなかった…」とならないようにしましょう!