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ホームページ制作でよく聞く『トンマナ』の意味と設定の仕方

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今回は、ホームページ制作の現場でよく耳にする「トンマナ」という言葉について解説します。トンマナは、ホームページの品質や一貫性を保つ上で非常に重要な概念です。この記事では、トンマナの意味や設定方法を詳しく説明し、効果的なブランディングのヒントをお伝えします。

企業のホームページ制作において、トンマナの設定がプロジェクトの成功を左右する大きな要因であることを最初にお伝えしておきます。トンマナが明確でないサイトは、ユーザーに混乱を与え、ブランドイメージを損ねる恐れがあります。逆に、適切なトンマナを設定し、それを徹底することで、ユーザーの共感を得て、ブランドの価値を高めることができるのです。

この記事を通じて、トンマナの重要性を理解していただき、自社のホームページの改善につなげていただければ幸いです。それでは、早速トンマナの基本的な概念から説明していきましょう。

そもそもトンマナ(トーン&マナー)とは何か?

「トンマナ」は、「トーン(Tone)」と「マナー(Manner)」を組み合わせた言葉で、Webサイトや広告などの表現に一貫性を持たせるための指針です。見た目や伝え方の雰囲気をそろえることで、ブランドの印象を統一し、ユーザーに信頼感を与える役割があります。

以下で「トーン」と「マナー」それぞれが、どのような役割を果たすのかを解説します。

トーンとは?

トーンは、「伝え方の雰囲気」や「表現の方向性」のことを指します。
たとえば、

  • 親しみやすくカジュアル
  • 上品で落ち着いている
  • 明るく元気
  • まじめで専門的

といったように、ブランドの性格や伝えたい印象に応じてトーンを設定します。
配色やフォント、写真、文章の言い回しなどを通じて表現されます。

マナーとは?

マナーは、「表現上のルール」や「スタイルの決まりごと」のことです。
たとえば、

  • 見出しのサイズや位置をそろえる
  • 敬語の使い方を統一する
  • ロゴの使い方を定める
  • 写真は人物中心で明るいものを使う

といったように、表現のばらつきを防ぎ、誰が制作しても同じ品質で情報発信できるようにする役割を持ちます。

なぜトンマナが重要なのか?

前章で、トンマナの基本的な概念について説明しました。次はトンマナがなぜ重要なのか、その理由を具体的に解説していきます。

ブランドイメージの統一

トンマナを設定すると、Webサイト全体で一貫した雰囲気やメッセージを保てます。たとえば、高級ブランドなら落ち着いた色合いや上品な言葉づかいで「上質さ」を演出できます。ページごとに雰囲気が違うと、ユーザーはブランドの印象をつかみにくくなってしまいます。

一貫したトンマナは、ブランドの世界観を定着させ、他社との差別化にもつながります。

ユーザー体験の向上

ユーザーにとって心地よいデザインや語り口は、使いやすさや読みやすさに直結します。ターゲットに合ったトーンを使えば、内容が伝わりやすくなり、サイトの滞在時間や再訪率にも好影響を与えます。

たとえば、やさしい言葉や親しみやすいデザインを使えば、初心者でも安心して情報を得ることができます。

信頼の獲得

トンマナに基づいた一貫したコミュニケーションを行うことで、ユーザーとの間に信頼関係が築かれます。例えば、誠実な言葉使いや、専門的でありながらも分かりやすいトーンを維持することで、ユーザーは「このサイトは信頼できる」と感じ、ブランドへの好感度が上がります。また、誤解を避けるために、マナーを守って表現することも信頼性を高める要素となります。

トンマナは、ブランディング、ユーザー体験、信頼性の3つの観点から、非常に重要な意味を持っています。ホームページ制作において、トンマナの設定は決しておろそかにできません。

トンマナの設定方法

これまでトンマナを構成するさまざまな要素について解説しましたが、実際にトンマナを設定していくにはどうすれば良いのでしょう。ここではその具体的な手順やポイントについて説明します。

トンマナ設定のステップ

トンマナの設定は、以下の4つのステップで進めていくことをおすすめします。

・ブランドコンセプトの明確化
・ターゲットユーザーの理解
・競合サイトのリサーチ
・デザインとコンテンツの方向性決め

まず、自社のブランドコンセプトを言語化することから始めましょう。「どんな価値を提供するのか」「他社にはない強みは何か」など、ブランドの本質を見つめ直します。明確になったブランドコンセプトが、トンマナ設定の指針となるはずです。

次に、ターゲットユーザーについて深く理解することが大切です。ユーザーのペルソナを作成し、年齢層や職業、ライフスタイル、悩みや欲求を明文化しましょう。「どんな人に何を伝えたいのか」という視点を持つことが、説得力のあるトンマナ設計につながります。

さらに、競合他社のホームページを分析することも重要なステップです。業界の中でどんなトーンが主流なのか、ユーザーがどんなサイトに惹かれているのかを知る必要があります。競合サイトの良い点は取り入れつつ、自社らしさをどう打ち出すか。差別化の方向性を探りましょう。

以上の情報を踏まえ、デザインとコンテンツの方向性を決めていきます。「シンプルでモダンなデザイン」「丁寧で親しみやすい文章」など、トンマナの具体像をイメージしていくのです。イメージに合ったサンプルを集め、カラーパレットやフォント、写真の選定などを進めましょう。

以上の4つのステップを踏まえることで、自社のベストなトンマナを見出すことができるはずです。トンマナ設定は、いわば「ブランドの設計図」を描く作業。ブランドの世界観を言葉とビジュアルで表現する、創造的で奥深いプロセスだと言えるでしょう。

トンマナの活用例

ここからは、トンマナを上手く活用している企業の事例をご紹介します。他社の成功例を参考にすることで、自社のトンマナ設計に役立てていただければと思います。

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事例1:パナソニック

https://panasonic.jp

日本を代表する総合エレクトロニクスメーカー、パナソニック。そのホームページは、2022年に発表された「幸せの、チカラに。」という新たなブランドスローガンを体現した、同社が何者であるかを分かりやすく伝える構成が特徴的です。

パナソニックのサイトは、黒を基調とした、シックでモダンなデザインが印象的。トップページには、最新の製品や技術を紹介するビジュアルが大きく配置され、イノベーティブな企業イメージを強く打ち出しています。また、グローバルナビゲーションが整理され、あらゆるユーザーが使いやすいUI設計になっているのも特徴です。

サイトのコンテンツは、家電や住宅設備などの製品情報だけでなく、同社の環境への取り組みや、社会貢献活動なども詳しく紹介されています。くらしの豊かさの維持向上と、地球・社会課題の解決。どちらも両立させるベストパートナーであることを掲げる同社の取り組みを、具体的に示すことで企業の社会的責任への真摯な姿勢を表明しているのです。

また、各ページの文章は、グローバル企業らしい洗練された英語表現が用いられているのが特徴です。専門用語には平易な説明が付され、世界中のユーザーに配慮するグローバルコミュニケーションの姿勢が感じられます。

パナソニックのサイトは、テクノロジーを通じて世界中の人々の暮らしを豊かにするという同社のブランドビジョンを見事に具現化していると評価できるでしょう。革新とサステナビリティ、グローバルとローカル。そのバランスの取れたメッセージを、一貫したトンマナで発信し続けているのです。

事例2: ニトリ

インテリア用品や家具の大手販売チェーン、ニトリ。そのホームページは、同社の「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズを体現した、バリューフォーマネーを感じさせるデザインが特徴的です。

ニトリのサイトは、シンプルで見やすいレイアウトが印象的。白を基調とした背景に、商品の写真が大きく配置され、価格の安さと品質の高さを同時に訴求しています。各商品のページでは、材質や機能、サイズなどが詳しく説明され、購入する側の不安を一つ一つ丁寧に払拭する姿勢が感じられます。

また、コーディネート提案のコンテンツも充実している点にも注目しましょう。リビングやダイニング、寝室など、部屋ごとのトータルコーディネートを提案。手頃な価格で、おしゃれな部屋が実現できるというメッセージを、ビジュアルと文章の両面から訴求しているのです。

価格と品質のベストバランスを標榜してきた同社は、その価値観をホームページの随所で表現することに成功していると言えるでしょう。手頃な価格でも、快適で上質な暮らしが実現できる。そんな同社のブランドアイデンティティを、トンマナで見事に体現しているのです。

事例3: カルビー

お菓子とスナック菓子のトップメーカー、カルビー。そのホームページは、同社の「私たちは、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献します。」という企業理念を体現した、フレンドリーで楽しげな雰囲気を醸し出すデザインが特徴的です。

カルビーのサイトは、白を貴重にブランドカラーの赤色とあとはグレー系に絞ったシンプルな配色で、写真に目が行くように設計されています。トップページには、自然の力やさまざまな層の人々をモチーフにした動画が大きく配置され、製品づくりへのこだわりと顧客志向を訴求しています。

サイト内には、商品の開発秘話や製造工程の紹介など、ものづくりへのこだわりを伝えるコンテンツが豊富に用意されています。原材料の産地や、品質管理の取り組みなどを丁寧に説明することで、安心・安全なお菓子づくりへの真摯な姿勢を印象づけているのです。

また、文章表現は、読んでいて楽しくなるような親しみやすいトーンが特徴的。硬い専門用語は避け、ユーザーに寄り添うような柔らかな言い回しが用いられています。「じゃがいも丸ごとプロフィール」や「じゃがいもDiary」など、ポテトへの愛情と自信を感じさせるコンテンツも充実しています。

カルビーのサイトは、自然の恵みを活かし、お客様に美味しさと楽しさをお届けするという同社のブランドアイデンティティを、生き生きと表現していると言えるでしょう。フレンドリーでポジティブ、そしてこだわりを感じさせるトンマナは、他のお菓子メーカーが参考にすべき好事例と評価できます。

業種や業態は違っても、いずれの企業もブランドの世界観をホームページで表現することに成功していました。「シンプル」「伝統」「革新」など、各社のアイデンティティをトンマナという形で昇華させているのです。

こうした事例を参考に、自社のコンセプトに合ったトンマナ設計を目指していただければと思います。「自社らしさ」とは何か、「ユーザーに伝えたい価値」とは何か。そんな本質的な問いに向き合うことから、トンマナ作りはスタートするのです。

トンマナ違反の事例とその影響

上記のような優良事例がある一方で、トンマナがうまく機能していないケースも見受けられます。ここでは、トンマナ違反の事例とその影響について考えてみましょう。トンマナ違反の代表的な例としては、以下のようなものが挙げられます。

・サイト内でデザインに統一感がない
・ページごとに文体が異なる
・会社概要や商品説明に不適切な表現がある
・ユーザーに不快感を与える広告が掲載されている

例えば、トップページはシンプルなデザインなのに、商品ページは過剰に装飾されている。あるいは、あるページでは硬い言い回しなのに、別のページではくだけた口調になっている。こうしたトンマナの不統一は、サイトの信頼性を大きく損ねる恐れがあります。

また、「トップクラス」「トップシェア」「グローバル」といった強みを訴求するフレーズの多用は、自信と自慢を取り違えられる可能性があり、「今すぐ買わないと損です!」といった煽るような文句も、ユーザーの不信感を招きかねません。もちろん、法的に問題のある表現や、公序良俗に反するような内容も論外です。

こうしたトンマナ違反は、以下のような悪影響を及ぼします。

・ブランドイメージの低下
・ユーザーの離脱率上昇
・売上やコンバージョン率の低下
・社会的信用の失墜

トンマナが守られていないサイトを見たユーザーは、「このブランドは信用できない」「二度とこのサイトは訪れない」と感じるかもしれません。その結果、せっかくの集客も台無しになってしまうのです。さらにトンマナ違反が著しい場合、炎上のリスクすらあります。ソーシャルメディア上で批判が殺到し、ブランドの社会的信用が地に落ちてしまう可能性も考えられるのです。

こうした悲惨な事態を避けるためにも、トンマナのルール順守は徹底したいものです。サイト内の隅々まで目を配り、ブランドにふさわしくない表現がないかチェックすることが大切だと言えるでしょう。

ただし、ルールを守ることが目的化してしまうのは本末転倒です。あくまで、ユーザーに良質な体験を提供するための手段として、トンマナ遵守を位置づけることが肝要です。ユーザー目線を忘れない柔軟な対応こそが、ブランドの価値を高める近道になるはずです。

トンマナ違反は、ブランドの毒にも薬にもなり得る諸刃の剣だと言えます。「守るべきことは守りつつ、時に型を破る勇気も持つ」という、メリハリの効いたトンマナ運用を、心がけたいものですね。

まとめ

ホームページ制作において、トンマナは欠かせない要素であることがおわかりいただけたと思います。適切なトーンとマナーを設定し、ブランドの世界観を言葉とビジュアルで表現すること。それこそが、ユーザーの共感と信頼を勝ち取る秘訣なのです。

最後にトンマナ設計のポイントとして、5つご紹介します。

・ブランドの価値観やビジョンを言語化する
・ターゲットユーザーのペルソナを明確にする
・競合サイトを分析し、自社の差別化ポイントを見出す
・デザインとコンテンツの要素を細かくルール化する
・ユーザー目線に立ち、使い勝手や読みやすさを優先する

そして、トンマナを組織の隅々まで浸透させるためには、以下の3つの実践が欠かせません。

・定期的なチェックと改善で、ブレないトンマナを維持する
・経営層主導の社内教育で、トンマナ意識を根付かせる
・ユーザーの声に耳を傾け、サイトの価値を磨き上げる

トンマナ設計は、企業の個性をどう表現するかという、クリエイティブな挑戦でもあります。ときに既成の枠を飛び越え、新たな表現を生み出す勇気も必要とされるでしょう。

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