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手軽に3Dモデルを作成できる「フォトグラメトリ」をテストしてみた。

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最近ちらほらと耳にするようになった「フォトグラメトリ」というワード。
3DやAR・VR関連の技術ですが、インターネットの記事もまだまだ少ないと感じます。
そこで、どのような技術なのか?どのような用途で使えるのか?
社内でテストしてみました。

フォトグラメトリとは

物体を様々な方向から撮影して、その写真データをコンピューターが解析して3Dモデルに変換する技術です。
身近なところでは、ゲームや映画のCG制作に活用されています。
簡単にいうと、手軽に3DCGがつくれる!超便利なテクノロジーです。

準備

今回用意した機材がこちら。

  • カメラ (iphone8・一眼レフ)
  • PC     (デスクトップPC)
  • フォトグラメトリ専用ソフト (metashapeデモver)
  • 卓上用電動ドリー

これらの機材で、いくつかの方法を試していきます。
ではさっそく撮影!

撮影

まず撮影対象を決めます。
とりあえず社内にあるものをピックアップ。

メガホンのマスコット、めがみのフィギュア (奥)
メガホンカラーのブタさん (右)
何故かシャア専用ザク・・・ (左)

フォトグラメトリは写真データをもとに3D化する技術なので、
いろいろな方向、角度からの写真が必要です。

俯瞰からみた撮影アングルイメージ

とりあえず、40枚弱撮影しました。
素材は用意できたので、ソフトを使って3D化の作業へ。

ソフトを使用してフォトグラメトリを行う

フォトグラメトリ用のソフトはいくつかありますが、その中でも高品質で簡単に扱える「metashape」を選びました。無料のトライアル版があるのでおすすめです。
ソフト内で行う作業工程は大きく分けて4つ

  • 写真のアラインメント
  • 高密度点群の作成
  • メッシュの作成
  • テクスチャの作成

作業時間はPCのスペックに依存するので、スペック高めのPCで作業することをおすすめします。

フォトグラメトリ・・・失敗・・・

ソフト処理がおわり、できあがった3Dデータがこれ。

無残な姿に・・・

な・・なぜ・・・しっかり手順通りにやったはずなのに!
失敗の原因を考察して思いついたことが以下。

  • 写真の枚数が少ない。 (抜けているアングルがある)
  • 対象物がフォトグラメトリするのに向いていない。 (複雑な構造なのでありえる)
  • 解像度が低い (スマホカメラなのでありえる)
  • ライティング環境が悪い (撮る角度によって対象の明るさが変わり、白飛びしている箇所がある)

では、トライ・アンド・エラーで1つずつ解消していきましょう!

いろいろな撮影パターンをためす

写真の枚数をあげるにも、スマホのカメラだけでこれ以上精密に撮っていくことはなかなか厳しい。
ということで登場したのがこれ。

卓上電動ドリー!
スマホを乗せて、リモコンのボタンをポチっとするだけで自動で対象の周りをぐるぐると回ってくれるという優れものです。

ドリーに載せて動画を撮影→動画を画像化→「metashpe」で3D化という完璧なプラン!
そしてこの方法で3D化したフィギュアがこちら。

まるでホラーゲームのアイテム。今にも崩れ落ちそう。

これはさすがに撮影する対象がフォトグラメトリに向いていないのかと思い、他の対象でも試してみました。

だがしかしうまくいかない・・・どうしても粘土のような質感+形状がボロボロになってしまう。

質感が表現できないということは、写真の解像度が足りていないのかもしれない。
ということで、ここでiphoneカメラから一眼レフに変更 しました。

フォトグラメトリ成功

電動ドリーに一眼レフをのせて撮影することが難しかったため、初心に戻り、手持ちで対象の周りをぐるぐる回りながら撮影。
そしてソフトで処理して3D化すると・・・

一気に綺麗になりました!
なるほど、写真素材の解像度が足りていなかったんですね・・・
解決してよかった。

対象の範囲を広くしてチャレンジ

とりあえずコツはつかんだので、次は対象を大きくしてみることに。

程よい大きさで、撮影しやすそうな対象を発見。早速撮影!
対象が大きくなっても基本的に撮影方法は同じで、対象を中心として、円を描くように周りながら撮影しました。

70枚弱撮影。
なんとなくですがこの時点でうまく3D化できる予感がしました。

ただ1つ懸念があるとすれば、俯瞰からのカットが撮れていないこと。
対象の上面のデータがないため、上面だけ穴が空いてしまう可能性があります。スマホ撮影だと自撮り棒を伸ばして上面部分を撮影することができますが、今回は一眼レフなので難しく、仕方なくあきらめました。

持ち帰った写真データをソフトにかけて、ドキドキしながら処理待ち・・・かなり時間がかかってます。

広い範囲を撮影した分、情報量が多くなり重い処理をしている様子 。

・・・待つこと約5時間。出来上がったものがこちら!

すごくリアルにできました!
後ろからのアングルもしっかりモデリングされています。

ただ一点だけ残念なところが・・・

上から見ると、狛犬の頭頂部の色が変わっています・・・決してコケが生えていたわけではありません。
そう、撮影時に懸念していた通り、俯瞰からの写真が撮影できなかったので頭頂部だけデータが荒れてしまいました。
やはり俯瞰からのアングルも必要ということですね・・・勉強になりました。

まとめ

最後に、フォトグラメトリをテストしてみて気付いたことをまとめます。

メリット

  • 専門知識がなくても3Dモデルを作成することができる。
  • 短時間でリアルな3Dモデルを作成することができる。

注意点

  • 万能というわけではなく、3D化する対象は向き不向きがある。
    (模様があったり、質感がざらついていたほうが向いている、逆につるつるした質感や反射しやすいもの、形状が複雑なものは向いていない)
  • 写真データの解像度をあげると3Dモデルのクオリティーは上がるが、ソフトの処理時間に時間がかかる。
    (PCのスペックや工数を考えつつ、最適な方法を考えることが重要)

用途

  • Web上で3Dデータを表示する (商品の3Dモデルなど)
  • 3DCGをつかった映像表現
    (ドローンを使用して町並みなどかなりの広い範囲をマッピングすることも可能)

もちろん上記だけではなく、3DCGを使用する様々なことで使うことができ、表現の幅を広げてくれるテクノロジーだと思いました!